情報確認日:2026年10月8日
Grokを開発するSpaceXAI(旧xAI)は2026年9月21日(米国時間)、新しいモデル「Grok 4.7」を公開しました。コーディングと知的作業向けとしては同社で最も高性能なモデルで、料金と速度は前のGrok 4.6と同じに据え置かれています。公式発表
この記事では、何が変わったのか、公表されたベンチマークで他社モデルとどう違うのか、どこで使えるのかを公式発表から整理します。
この記事の要点は次のとおりです。
- 新しく、より大きな基盤モデルを採用し、何時間もかかる難しい作業を中心に学習を重ねた
- API料金は入力2ドル・出力6ドル(100万トークンあたり)で、Grok 4.6と同じ
- 電気工学と法務のベンチマークで比較相手を上回った一方、長時間のコーディングや医療の推論では他社の最上位に届かない項目もある
- 新しい安全対策で、危険なサイバー作業の依頼を通した割合は3.3%にとどまったとしている
- 提供先はCursor、Grok Build、Grok API、クラウドなど。発表文にgrok.comアプリでの提供の記載はない
Grok 4.7で何が変わったのか
SpaceXAIによると、Grok 4.7はGrok 4.6より大きな新しい基盤モデルを使っています。強化学習の期間を延ばし、何時間もかかる難しい課題を多く含む内容で学習させました。改良点の公式説明
その結果、自分の作業をより丁寧に確かめること、長い文脈を扱うことが得意になったと説明しています。さらに、同社のAIエージェント「Grok Bot」の動き方をあらかじめ理解するよう学習しており、会話形式の作業や一般的な知的作業にも強くなったとしています。
文書やプレゼン資料の作成も改善したとされます。弁護士、看護師、金融アナリストなどの仕事を想定したGDPvalとAA Briefcaseという評価で、Grok 4.6を上回りました。
「2倍速・半額」の比較相手は?
発表の見出しには「同等のモデルと比べて2倍の速さで、価格は半分」とあります。ただし、比較の相手となるモデルは本文で明示されていません。
発表内の表では、比較相手としてOpenAIのGPT-5.6 Sol(Max)とAnthropicのClaude Fable 5.1(Max)が並んでいます。APIの料金はGPT-5.6 Solの半額以下、Fable 5.1の5分の1以下です。なお、比較表にはOpenAIの最新のGPT-6世代(Astra・6.1 Sol)は入っていません。GPT-6 AstraはGDPvalのグラフにだけ登場します。
公表されたベンチマーク
以下はSpaceXAIが公表した数字です。各社の設定(推論の強さ)は表のとおりで、第三者による検証ではありません。
| 評価項目(内容) | Grok 4.7 xHigh | Grok 4.6 High | GPT-5.6 Sol Max | Fable 5.1 Max |
|---|---|---|---|---|
| 入力料金(ドル/100万トークン) | 2 | 2 | 4 | 10 |
| 出力料金(ドル/100万トークン) | 6 | 6 | 20 | 50 |
| CursorBench 4.0(ソフトウェア開発) | 46.3% | 40.4% | 41.7% | 51.8% |
| DeepSWE v1.1(ソフトウェア開発) | 71.0%(※) | 65.2% | 72.7% | 70.0% |
| EEBench(電気工学) | 64.0% | 53.0% | 39.4% | 56.4% |
| AA Briefcase v1.1(数時間の事務作業) | 1,657 | 1,546 | 1,487 | 1,678 |
| Terminal-Bench 4.0(数時間の端末作業) | 37.6% | 20.3% | 37.3% | 57.9% |
| Harvey Legal Agent Benchmark(法務) | 19.6% | 15.8% | 2.5% | 6.7% |
| HealthBench Professional(臨床推論) | 56.7% | 48.5% | 60.5% | 62.1% |
※DeepSWEのGrok 4.7はHigh設定での値。
専門職の知的作業を測るGDPval(Eloスコア)は、Fable 5.1(max)1,735、Grok 4.7(xhigh)1,695、Grok 4.6(high)1,605、GPT-6 Astra(max)1,542でした。
数字から読み取れる得意・不得意
- 得意:電気工学(EEBench)と法務(Harvey)では、比較した全モデルを上回った。Grok 4.6からの伸びも大きい
- 互角:数時間の事務作業(AA Briefcase)とDeepSWEは、他社の最上位とほぼ並ぶ
- 届かない:長時間のコーディング(CursorBench)、端末作業(Terminal-Bench)、臨床推論(HealthBench)は、Fable 5.1が上
SpaceXAIはCursorBench 4.0について、作業1件あたりの費用と得点の関係では最前線にあると主張しています。性能の最高値ではなく、「この料金でこの性能」という価格対性能を強みにしたモデルと読めます。
安全対策とサイバーセキュリティ
Grok 4.7は、安全対策の仕組みを一から作り直したとしています。危険な依頼を断る力と、すり抜け(ジェイルブレイク)への耐性は、同社がこれまで試したモデルで最も強いと説明しています。安全対策の公式説明
- LatchBioの生物安全性ベンチマークで62.4%となり、首位としている
- 危険なサイバー作業を測る自社の評価(HackerBench v0.3)では、悪用のおそれがある依頼を通した割合が3.3%だった
- 正当なセキュリティ業務はほとんど妨げないとしている
- 一部のサイバーセキュリティ企業に、防御研究のための招待制の利用枠を提供し始めた
料金と使える場所
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| API料金(標準) | 入力2ドル・出力6ドル(100万トークンあたり、「から」の表記) |
| 高速版 | 出力速度が2倍、料金も2倍 |
| 公開日から使える場所 | Cursor、Grok Build |
| その他の提供先 | Grok API、他社のコーディングツール、モデルの振り分けサービス、クラウド基盤 |
| Grok Build | 無料で試せると案内 |
文脈の長さ(コンテキスト長)や、grok.comやXのGrokアプリでの提供は、発表文に書かれていません。使う前にSpaceXAIの開発者向け資料で確認してください。
分かったこと・まだ分からないこと
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 分かったこと | 料金(Grok 4.6と同額)、高速版の条件、主な提供先 |
| 分かったこと | 公表ベンチマークでの得意・不得意 |
| まだ分からないこと | 「2倍速・半額」の正確な比較相手 |
| まだ分からないこと | GPT-6世代の最新モデルとの直接比較 |
| まだ分からないこと | コンテキスト長、日本語での性能、grok.comアプリでの提供 |
使う前の確認ポイント
- 自分の作業で比べる:法務や設計の文書づくりなど、得意分野に近い作業から小さく試します
- 作業1件あたりの費用で見る:単価が安くても、長く考える設定では使うトークンが増えます。同じ作業を他のモデルと並べて費用を比べます
- 高速版は必要なときだけ:速さが2倍になる分、料金も2倍です
- API利用は資料で仕様を確認:コンテキスト長やモデル名は、開発者向け資料が最新の情報源です
料金・他社との比較・社名のおさらい
Grok 4.7の料金はGrok 4.6から変わらず、入力2ドル・出力6ドル(100万トークンあたり)からです。速度も同等とされています。
GPT-6やClaudeとの比較は、分野によって分かれます。公表値では電気工学と法務でGrok 4.7が上回り、長時間のコーディングや臨床推論ではClaude Fable 5.1が上でした。比較表にGPT-6世代の最新モデルは入っていません。
なお、開発元のxAIは2026年2月にSpaceXに加わり、現在の公式サイトはSpaceXAIの名前で運営されています。公式発表
まとめ
Grok 4.7は、料金を据え置いたまま、長時間の作業と専門分野の知的作業を伸ばしたモデルです。電気工学や法務では他社の最上位を上回る一方、長時間のコーディングなど届かない分野もあります。
最高性能を追うより、「この価格でどこまでできるか」で選ぶモデルです。まずはGrok Buildや手元のツールで、普段の作業を一つ任せて比べてみてください。
出典
- SpaceXAI「Introducing Grok 4.7」(2026年9月21日)
- SpaceXAI「Introducing Grok 4.6」(2026年8月12日)
- SpaceXAI「xAI joins SpaceX」(2026年2月2日)
- SpaceXAI 開発者向け資料
関連記事
- Grok Botとは?専用のPCで働くAIチームメイトと、新機能Team Botsの共有のしかた
- GPT-6.1 Sol登場|Astraとの料金差と、仕事で比較するポイント
- Claude Sonnet 5.5登場|「30%以上高速化」「費用最大30%減」の意味
